CitrixはMicrosoft社との長年のパートナーシップを通じて、様々な価値をお客様に提供してきました。このシリーズでは、Cloud VDIの代名詞でもあり、VDIのCloud化を加速する、Microsoft Azure Virtual Desktopに対するCitrixのベネフィットを紹介します。

今回のテーマは「TCOの削減」に寄与する、新しくなったAutoscale機能について紹介します。

Autoscaleとは

Autoscaleは、Citrix Virtual Apps and Desktopsサービスで最も活用されている機能の一つです。Autoscaleは、仮想マシンの電源を高度に管理し、クラウドやオンプレミス&クラウドでのハイブリッド展開において、仮想マシンのコストを最大約70%削減します。さっそく強化されたAutoscaleの機能を見ていきましょう。

ドレイン機能

Autoscaleの最新機能を理解する前に知ってきたいキーワードがあります。それは「ドレイン機能」になります。

このドレイン機能とは、セッションの数が最小であるマシン、すなわちユーザーが一番少ない仮想マシン上に振られる特別なフラグです。このフラグの立った仮想マシンを「ドレイン状態の仮想マシン」と言います。ドレイン状態のマシンは、新規セッションを受け付けなくなり、既存のセッションがログオフされるまで待機し、仮想マシンからすべてのユーザーがログオフすると仮想マシンの電源を落とします。

飛行機の便に例えると、ドレイン機能のメリットの概念をイメージしやすいと思います。A地点とB地点の間を結ぶ航空会社が3社数あるとします。繁忙時のそれぞれの航空会社の搭乗率は100%に近いですが、閑散時の搭乗率はそれぞれ10%に満たないです。空席の多い飛行機を運行するほどコスト的に非効率なことはありません。そこで3社は協議し、閑散時だけコードシャアでし、1機の飛行機を共同運航することにしました。閑散期に空席が多い状態で3機の飛行機を運行するよりも、コードシャアを行い1機にして搭乗率をあげて運行する方が経済的なメリットが大きいのは明白です。仮想ホストも多くのホストにユーザーが分散してしまうと、稼働するマシンが増えその分コストがかかります。

ドレイン機能の有効無効について、下の図で説明すると、例えば、最大50人のユーザーをホストする環境用に、5台のWindows 10 マルチセッションの仮想マシンが用意されている環境があるとします。朝の一斉同時ログオンで各マシンには10人がログオンしている状態で、10台すべてのマシンが稼働しています。ただ終業時間になるにつれ、外出ユーザーなども増え、一台当たりのユーザー数が減少し、定時後は、先程の飛行機の閑散期のように、各仮想マシンにユーザーが分散してしまっている状態、すなわちユーザーが希薄化した状態になります。このような状態は仮想マシンリソース消費の観点からは非効率な状況です。

Autoscaleによってドレイン機能が有効になると、ユーザー数が一番少ない仮想マシンでは新規ログオンを受け付けなくなり、ユーザーは稼働中の別のマシンに誘われます。ドレイン状態のマシンの電源は最後のユーザーのログオフをトリガーに電源がOFFになります。この為より少ない仮想マシンでユーザーをホストしやすい状態になります。すなわちユーザーのログオフ、再接続の頻度が上がるほど、ユーザーの希薄化が解消されます。今回強化されたAutoscaleはユーザーエクスペリエンスに配慮しながら、ドレイン状態の仮想マシン上のユーザーやアイドルユーザーのログオフを促進する機能が実装されましたので、ここから詳しく説明してゆきます。

より少ない仮想マシンで更なる節約~強制ログオフ~

一般的に始業時は多くのユーザーが仮想マシンにアクセスする為、多くの仮想ホストが必要で、それぞれでのホスト上で多くのユーザーが業務を行います。そして就業時間などオフピーク時間に近づくほどユーザーログオフし、多くの仮想マシンで僅なユーザーが業務を行います。これは先程の閑散期の飛行機のように、少ない乗客で多くの飛行機を運行するのと同じ状況です。全体的に少ないユーザーで多くの仮想マシンを稼働し続けなければならない状態になり、その分のコストがかかります。

新しいAutoscaleの強制ログオフ機能ではピーク時、オフピーク時に、それぞれ異なる猶予期間を設け、ユーザーを強制的にログオフさせることができるようになりました。強制ログオフの対象は先程紹介した「ドレイン状態の仮想マシン」になります。

強制的と言っても、いきなりログオフさせるのではなく、強制ログオフまでの猶予期間を設定したs上で、事前にユーザーログオフを促す通知ができるようになっています。通知の内容はカスタマイズ可能です。一度強制的にログオフされたユーザーが再接続を行うと、負荷を考慮した形でドレイン状態以外の仮想マシンに誘われます。これによって、より円滑に全体的な仮想マシンの稼働台数を削減することができます。

図:ピーク時、オフピーク時それぞれ猶予期間が設定できる他、ユーザーへの事前通知内容をカスタマイズすることができます。

参考までに水平負荷分散型のロードバランス機能を使うと、ユーザーが分散されて、各仮想マシンの負荷限界の許容度の高い運用が可能ですが、ユーザーが多くのサーバーに分散します。更に時間経過と共に全体的なユーザー数が少なくなると、各サーバーにユーザーが希薄化してしまいします。このような水平分散型のロードバランス環境で運用している場合もAutoscaleの強制ログオフ機能は効果を発揮します。

図:水平負荷分散と垂直負荷分散の設定

ダイナミックセッションタイムアウト

こちらも同じくユーザーエクスペリエンスに配慮しながら、ユーザーのドレイン、すなわちログオフを促進する機能です。非アクティブなユーザーセッションに対して、ピーク時とオフピーク時それぞれ異なるタイマーでアイドルユーザー(非アクティブなユーザー)のログオフ時間を設定することができますが、例えば、全体的なユーザー影響が少ないオフピーク時のログオフまでの時間を短くすることで、「ドレイン状態→電源OFF」を促進し、より短時間で全体的な仮想マシンの稼働台数を減らすことができます。

図:ダイナミックセッションタイムアウト機能の設定画面

注意点として、同様のセッションタイムアウト設定がGPO(グループポリシー)やCitrix Policyにもありますが、設定が競合する場合にはより短い時間が優先されます。

図:Citrix Policyのタイマー設定

クラウドバースト機能

この新しい機能はタグを利用してAutoscaleの対象を特定のマシンに限定することができます。Autoscale対象の仮想マシンは「ドレイン状態→OFF」が促進されます。この機能を使うと、例えばオンプレミスとクラウドでのハイブリッド展開している場合に、優先的にオンプレの仮想マシンでユーザーをホストし、それらのマシンがバーストした際にはクラウドリソースを使用するといった使い方が可能です。またオンプレの仮想マシン同様に、24時間の稼働を前提とした価格の安いリザーブド・インスタンス契約の仮想マシンで優先的にユーザーをホストすることも可能で、リザーブド・インスタンス契約の仮想マシンの負荷限界に近付いた場合にはAutoscaleの有効な従量課金のマシンで新規ユーザーをホストします。

どれだけ使っても料金の変わらないオンプレミスのインスタンスやリザーブド・インスタンスのマシンで優先的にユーザーをホストして、それらのマシンが枯渇した場合に従量課金の仮想マシンを使います。このようなユースケースの場合に更なるコスト削減が期待できます。

図:タグを使いAutoscaleの対象となるマシン限定します。

よりきめ細かいスケジュール設定

新しいAutoscaleではCitrix …

The post Azure Virtual Desktopに対するCitrixのベネフィット ~パート2~ first appeared on Citrix Blogs.


  

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